手術費用:片目350,000円〜 両目550,000円〜
目が白くなった。
物にぶつかるようになった。
暗いところで動きにくい。
目を痛がるような様子がある。
目が見えていないみたい。 など・・・
人の白内障は加齢に伴って発生する場合が最も一般的で、早ければ40歳から発症し、80歳以上ではほとんどの人が白内障の状態にあると言われています。つまり加齢性に伴う変化として発症しております。
犬はわずか1歳や2歳でも白内障になる子もいます。つまり人の加齢性に伴う変化とは別に遺伝性が多いのです。ここでお間違えいただかかないように説明しますと、「先天性」と「遺伝性」は違います。先天性は生まれつき白内障、もしくは白内障に繋がる目の病気がある病態なんです。遺伝性の話に戻りますが、特定の犬種は、5才以下の若い時期に白内障が発症することがあり、これは遺伝性白内障として考えられています。この遺伝性白内障は近年多くみられ、特に日本国内では、アメリカ ン・コッカー・スパニエル、トイ・プードル、チワワ、柴犬、ボストン・テリア、フレンチブルドッグなどがよく発症する犬種として挙げられています。若年期の白内障は、加齢性白内障に比べ、進行が非常に早く、1年くらいで両眼ともに発症することもありますし、合併症からの失明になってしまってから当院へ受診の子も多いです。
人の白内障は年を重ねれば誰もが経験するであろう病気であり、また、「日帰り手術」で簡単に治療できるというようなイメージも定着しているため、犬の白内障も病気というよりは老化現象として捉えていらっしゃる方も多いかもしれませんが、犬は人の白内障とは全く違うんだ!という事を、多くの人に知ってもらえたら嬉しいです🐶
〜〜〜白内障の進行について〜〜〜
下の表のように、初発や未熟では人の肉眼では確認は難しいでしょう。成熟の状態となって初めて白く見えますので誰でもわかる状態となります。

犬の白内障は先ほども記載したように、わずか1歳や2歳でも出ることもあり、当院では5歳〜8歳が最もよく見られています!
白内障は水晶体が白く濁っていく状態によって、上の写真のように4段階(初発・未熟・成熟・過熟)に分類されていますが、若い白内障ほどその進行が早くて、わずか数日〜1週間で一気に成熟期まで進行してしまうケースもあり、その場合はブドウ膜炎などの合併症を引き起こすことが多いので特に注意が必要です。これは水晶体タンパク質が水晶体より前眼房へ漏れ出した結果、虹彩などに起こる炎症(眼内炎)のことで、痛みにより眼をショボショボさせたり、結膜(白目部分)の充血などが起こります。白内障でというよりはそういう症状で来院され、結果的に白内障が発見されるケースもよくあります。
当院にはすでに重度ぶどう膜炎であったり、続発緑内障であったり、網膜剥離までしていてすでに失明している子が来院のケースも多いです。その多くがかかりつけ医さんから 「様子を見ましょう」と言われたので・・・。とおっしゃる方が多いです😢 かかりつけ医からの言葉を信じて、飼い主さんが目の様子を見ていた結果、下の写真まで進行してからの来院される子が多いのが悲しいです・・・😢

重度の白内障性のぶどう膜炎で、瞳孔がまん丸でなく、虹彩が水晶体へ癒着してしまっています。

この子は角膜潰瘍で来院した子。
原因は重度の白内障性のぶどう膜炎。潰瘍治療後のわかった事ですが、瞳孔が歪んでしまい、癒着してしまっています。

手術をご希望されて来院されましたが、すでに白内障性のぶどう膜炎が重度であり、目の中に6時方向に白いモヤモヤがあります。これはフィブリンと言うものです。

この子は白内障でのご紹介来院でしたが、目が全体的に充血が酷く、すでに網膜剥離と緑内障まで進行してしまい失明してしまっておりました。。。
白内障は 「水晶体というレンズが白く濁る病気」 で、一度濁ると元の透明な状態には戻らないです。また、犬も人も、濁りそのものを “お薬” で元通りにする方法は、現時点では確立されておりません。
そこで一般的な犬の白内障の治療の主な目的は2つになります。
① 視力を取り戻す、または保つこと と、
② ぶどう膜炎や緑内障などの失明につながる合併症を防ぐこと になります。
| ① 視力を取り戻す。または保つ。 |
白内障のお薬による治療は進行を遅らせる点眼薬やサプリメントがありますが、濁った水晶体を透明に戻す事はできません。そのため手術が主な治療となります。手術は濁った水晶体の中身を取り除き、そこへ新しい人工レンズを入れて固定します。(人工レンズが挿入出来ないケースも稀にあります)




ただし、犬の眼は非常にデリケートなため、術後に合併症が発症する割合が高いという事実があります。人間の場合、合併症が起きる確率は1,000件に1件(0.1%)程度ですが、犬の場合は10件に1件(8〜10%)程度あります。
白内障の手術をして視力を取り戻せても、術後に合併症が発症する可能性が人よりもかなり高い確率であることを予め認識していただく必要があります。
当院ではこの11年間で毎年10〜15頭の手術を行ってきておりますが、合併症は「薬」でコントロールできる場合もあれば、「手術」が必要になる場合もあります。そのどちらも難しい場合は最悪失明してしまうこともあります。実際、手術の翌日に網膜剥離を起こしてしまったり、術後から眼圧が高く、加療しても眼圧が下がらず、残念ながら失明してしまったケースもありました。その割合はだいたい年に1頭くらいです。
そして、もう一つ大切なこととして、術後の安静です。これは人と同じですね。
術前の診察やお預かりの時に、けっこう吠えてしまうタイプの子、ソワソワと落ち着きなく常に動いてしまう子、緑内障になりやすい犬種の子では、術後の合併症の割合が上がるため、慎重な手術の判断が必要となります。
犬の白内障手術は人間に比べて合併症リスクが高く、合併症を発症した場合はさらに術後のケアや費用がさらに大変になることをご理解いただければと思います。
| ② ぶどう膜炎や緑内障などの失明につながる合併症を防ぐこと。 |
これは主に、手術を受けられない子の場合に重要です。
水晶体が白内障の状態であると、見た目には問題がないようであっても、水晶体の中身のタンパク質がじわじわと周囲に炎症を起こし続けます。この状態が、水晶体起因性ぶどう膜炎 と呼ばれています。
白内障が進行すると水晶体は液化して、眼球内に液化した水晶体成分(タンパク質)が漏出します。この漏出したタンパクがぶどう膜炎を引き起こしてしまいます。なので、白内障がある限り、個体差はありますが、ぶどう膜炎は繰り返し発症します。この時に「眼内炎」が重度に起こると、緑内障や網膜剥離などの視覚回復が望めない合併症へと更に進行します。白内障の進行が早いほど、発症してからの経過が長くなるほど合併症の発生率が上がるため、「あれ?目が白いな」と思ったら、早期の受診をしていただき、獣医(眼科を得意としている)による診断と治療が重要となります。
なので手術を受けない場合にも目の炎症を抑える薬や、痛みを和らげる薬として、点眼薬や内服薬を用いることがあり、それらは主に「合併症のコントロール」のために使われています。
ネット上には白内障治療サプリメントや白内障治療をうたう点眼もありますが、「濁りそのものを確実に元に戻す」という科学的根拠がある薬は今のところ人の方でも見つかっておりません。

〜〜手術を検討する時のポイント〜〜
よくいただく質問で、「先生、この子はいつ頃が手術になりそうですか?」と聞かれます。僕たち動物の眼科医が手術を選択する事を総合すると、次のような点を見ながら「するか・しないか」「いつするか」を判断していることが多いです。
● まだ光や物がある程度見えているか
● ぶどう膜炎などの炎症が悪化していないか
● 年齢や心臓・腎臓など全身状態が麻酔に耐えられそうか
● 性格的に、エリザベスカラーや点眼、通院に耐えられそうか
● 飼い主が通院や点眼、費用負担を現実的に続けられそうか
犬では手術の際の合併症が10%程度あります。ですので、若齢期の発症の場合にはなるべく早い段階で手術を検討してまいりますが、それでも犬本人が見えない事で生活が不自由になるまでは定期的に診察をしながらその進行具合を見守っていくことが多いです。
また、高齢犬で見えなくなっていたとしても、その子の白内障の進行が遅く、犬本人が見えにくさにあまり困っていない、ほかの病気も抱えている(心臓病や腎臓病など)、という場合は、あえて手術を選ばず、生活環境を工夫してあげる選択肢も我々の動物医療の現場ではよくとられています。
白内障の診断には眼科専門の機器をいくつか用いないといけません。先にも記載しましたように、白内障には4段階の進行ステージがあり、今がどの段階なのか、また、手術を検討する場合にはこの子の白内障は手術のリスクはどの程度であるのか、または手術が不可能であるのかをこれらの検査によって状況を把握することは、その後の治療や手術においてとても大切になります。
❶細隙灯(さいげきとう)検査
眼科専門の機器を用いて、前眼部と言われる部分を観察します。拡大してみるだけではなく、細い光を眼に当てて、角膜や水晶体の状態(厚みや白濁の程度)を観察する検査をおこないます。肉眼では確認できない微細な病変を観察できるので、早期の白内障(初発や未熟白内障)でも発見することができます。
❷視覚検査
水晶体が白く濁ると、眼鏡のレンズが曇っている時と同じく目の前が見えなくなります。
ですから、白内障になり成熟白内障となれば見えない。ということになります。
しかし、犬では網膜の病気や緑内障などでも“見えない”という状態があるので、本当に水晶体の白濁が問題で見えないのかを検査することは、その後の治療に影響があるためとても重要となります。
❸眼圧検査
先ほどの内容にあるように、緑内障であるかどうかは重要です。
また犬種的には術後に合併症として高眼圧となりやすい犬種もあり、手術の判断だけではなく、術後の管理の上でも重要です。
❹超音波検査
水晶体は目の中で真ん中あたりにあります。これが白内障となると、進行具合によって膨化したり、菲薄してしまったり、最悪はバーストしてしまっていることもあります。また水晶体が白く濁っていると、目の後ろは確認できません!先天的な形態異常がないか、網膜剥離は起こっていないか、などを見えないときも重要です。これらは手術をするしないの判断においてとても重要な検査となります。
❺網膜機能検査
水晶体が濁っていると、先に述べたように見えない。のです。しかし犬では網膜の病気、つまり先に見えないがあってから、白内障になることも知られており、状況によっては網膜機能検査を術前にしっかりと行うことも、手術をするしないを判断するためにはとても重要です。
そのほかにも、糖尿病性白内障の可能性を考慮した血液検査や術後の管理で重要な涙のチェックとして、涙液量測定なども行います。
詳しい検査のページはコチラ
これらの検査行った結果、
① それほど進行していないならば(9歳以上で初発や未熟)、点眼やサプリメントで進行を抑えていけるかどうか見ていくことになり、
② 進行した状態、つまり水晶体が白く濁った状態まで進行している場合で、検査の結果、「手術適応」となりましたら、飼い主様ご家族と充分な話し合いをおこない、合併症などへのご理解とご納得をいただけましたら手術へと進みます。
ですので、容易に“白内障”であるとわかる状態でもこれらの検査は必要不可欠です。
10年間ほど、AMO社のホワイトスターシグネチャーを使用してきましたが、その進化した機種であるVeritasを2026年7月より導入しました。これまで以上により安全性と手術効率が上昇した機種となっておりますので、どうぞご安心して施術を検討していただけたらと思います。



白内障が進行し生活に支障が出るほど見えていない様子の我が子を見れば、手術して見えるようにしてあげたいと思うのが飼主心です。
しかしながら、犬の白内障の手術は希望するご家族とすべての犬が受けられるものではありません。
動物の白内障手術が成功するためには獣医師の技術はもちろんですが、「犬の協力」と「ご家族の協力・理解」が必要となります。
1 ご家族の協力
ご家族の協力として、次のポイントが重要となります。
・手術後に毎日家で点眼ができるか。
・薬を飲ませるなど日々のケアがおこなえるか。
・手術後も定期的な検査に通院が可能か。
2 犬の性格
白内障手術は術前、術後に頻回の点眼や内服投与などが必要なため、次のような治療に協力的でない犬は手術をすることは難しいといえるでしょう。
・臆病で触られることを嫌がる犬
・気性が荒い犬
また、治療に対しては協力的でも、入院室で吠え続けることなどにより、安静が出来ない犬や、術後エリザベスカラーの装着を異常に嫌がる犬では難しいでしょう。
3 品種特異性
アメリカやヨーロッパでは遺伝性形質に関する研究が進んでおり、白内障でも遺伝または遺伝が強く疑われる犬種が認められています。
白内障手術を考慮する場合には、他の犬種特異性眼科疾患に十分に注意する必要があります。
例えば、アメリカン・コッカー・スパニエルは白内障と緑内障の好発犬種に挙げられており、白内障手術後、緑内障を併発する可能性があることはよく知られた事実です。
その他、進行性網膜変性症の末期に白内障が発生することがよく知られており、白内障の手術に際しては、その犬種の眼疾患に対する品種特異性を調べておくことは重要となります。
4 全身状態の把握
全身麻酔下で行う手術ですから、当然、全身状態を把握するために完全な身体検査を実施します。一般の診察と同様に「現病歴」「過去の病歴」「ワクチン接種の有無」「フィラリア予防の有無」「薬剤の投与歴」「薬剤アレルギー」等についての問診も必要によってはおこないます。
大事なことは、白内障以外に眼疾患がなく、他にも全身疾患がないことです。
これらを調べる眼科検査としては先にも記載したように、「検眼鏡検査」「眼圧検査」「眼内超音波検査」「網膜機能検査」等を実施します。
全身疾患については、「血液検査」「尿検査」「レントゲン検査」「心電図」「エコー検査」「フィラリア抗原検査」等をその子の既往歴や体の状態、年齢など必要に応じて実施します。
残念ながら全身疾患が認められる場合には、その治療を優先させ病状が安定するまで手術を延期する場合もあります。
Q.犬の目が白いのですが、白内障でしょうか?
A.よくいただくご質問です。実際に10歳を過ぎる頃となると、黒目が白くなってくる子がいますが、白内障ではなくて、「核硬化」という老化に伴う水晶体の変化で白っぽく見えることがあります。この場合には濁っていても見えない事はないので、犬的にも特に問題なく生活できます。診断については、細隙灯検査で水晶体の中に不透過物がないけども、全体的に白く濁っている場合には核硬化となります。これは眼科検査に慣れている獣医師でないと誤診されて来院されるケースも毎年数件経験しております。
Q.白内障は予防できますか?
A.基本的には遺伝性疾患であるので、確実な予防は難しいですが、ある程度は可能だと思います。たとえば強い紫外線の下に長時間居させない、目を打撲するようなケガをやトラブルを回避する、抗酸化作用のある食品やサプリを与える。などはある程度の予防効果はあるでしょう。
しかし、人の白内障と同じく、残念ながら動物の白内障にも確実な予防薬や治療薬はありません。病院から処方しているのは“進行を遅らせる”ことができる薬だけです(基本的には老齢性の場合)。つまり犬の白内障は、いかに早く見つけ、進行を遅らせる治療に入るか。ということになります。
Q.犬の白内障は多い病気ですか?
A.大体10頭に1頭くらいとの統計結果もあります。(アニコム損害保険株式会社調べ)
Q.白内障の治療は?
A.こちらに記載しております。
Q.犬の白内障は目薬やサプリメントで治りますか?
A.これもよくお聞きするご質問ですね。
最近ネット上でそのようなサプリメントや目薬があるらしく、たまにお聞きするご質問ですが、結論から申し上げると、犬の白内障は、目薬やサプリメントで元の透明な水晶体に治ることはありません。白く濁った水晶体を戻せる治療は手術以外にはないのが現実です。
Q.白内障を自宅で見つける方法は?初期の症状はありますか?
A.初期の白内障はまず自宅で見つけるのは難しいでしょう。ステージ1・2(初発・未熟)の状態では肉眼で見つけるのは不可能です。肉眼でいくら観察しても白内障の兆候は見えません。普通、飼い主様が気がつく異変としては「眼が白っぽく見える」や「歩くと物にぶつかる」「ボールを投げてあげても探せなくなった」などがありますが、この時は既にステージ3(成熟期)程度まで進行しています。
早期発見には、眼科検査機器を持っている動物病院で検査を受けるほかありません。検査時間は犬の協力にもよりますが、数分で終わります。当院へ通っている方であれば、少しでも気になる場合にはお気軽にお申し付けください。
Q.犬の白内障はどのくらいの速さで進行しますか?
A.とても良いご質問です。途中にも記載があるように、遺伝性疾患であるので、若い子での発症もあり、当院でも1歳や2歳でも手術を行ってきております。特に若い白内障の進行は非常に早いことが多く、数日から数週間であっという間に失明の危機となる合併症まで進行してしまうケースもありますので、特に若い犬で目が白くなった場合には早めに受診してくださいね。
Q.知り合いの犬で、長いこと白内障でしたが、特に問題なく過ごした犬を知っています。自分の犬がなった時にどうしたら良いのか悩んでしまいます。白内障手術のメリットとデメリットについてはどうですか?
A. このページの上の方でもお答えしておりますが、まずは下記のような様子を見て手術をした方が良いかどうかお答えしております。
✅ まだ光や物がある程度見えているか
✅ ぶどう膜炎などの炎症が悪化していないか
✅ 年齢や心臓・腎臓など全身状態が麻酔に耐えられそうか
✅ 性格的に、エリザベスカラーや点眼、通院に耐えられそうか
✅ 飼い主が通院や点眼、費用負担を現実的に続けられそうか
当然、手術を行えば見えるようになりますし、白内障がある事自体の合併症も無くなります。それがメリットですね。
その上で、手術後の合併症やそのリスクをその子その子やご家族の状況を含めて検討を重ねます。つまりデメリットの部分ですね。
特によく吠えてしまう子や点眼に非協力的な子は術後の安静や治療が難しいので、眼内の炎症、緑内障などのリスクがあるため、デメリットになりますから、メリット・デメリットについて慎重な判断が必要となります。
手術を受けない場合でも、これまで説明させていただいたように、ある日突然に続発性緑内障やぶどう膜炎など、痛みを伴う病気につながることがありますので、定期的な診察をして一緒に見守らせてください!